ウンチやおしっこで汚れた布オムツ、洗濯機にそのままポイポイと放り込めたら楽チンですよね。
でも、多くの方が、「ウンチやおしっこは汚い」から、オムツを他の洗濯物と一緒に洗うことに、多かれ少なかれ、抵抗があるのではないでしょうか?
また逆に、中には、「赤ちゃんのウンチやおしっこは汚くないよ」と思っている方もおられるようです。
それに、布オムツのお洗濯って、いったいどこまで綺麗にする必要があるのでしょうか?
そもそもウンチって、どうして「汚い」のでしょう?
「ウンチにはバイキンがいっぱい!」これは本当です。
ウンチの重量のうち1/3が細菌だといわれるほど、ウンチは細菌だらけです。
コレラや赤痢、ペスト、チフスなど、名前は耳にしますよね。今は薬がありますが、死に至ることもある恐ろしい伝染病も、それらの病原菌を持つ人のウンチの中の菌が口に入ってしまったときに感染します。
「ウンチは汚い」これは私たちが健康に生きていく上で、得た知恵でもあります。
「臭い、汚い」ということを、小さいときから教育することによって、ウンチを遠ざけ、そこに含まれる細菌による様々な病気になるのを防いでいるわけです。
ウンチは、食物の消化しきれなかったもの、新陳代謝ではがれた腸内細胞、大腸菌などの腸内細菌、水分などでできています。ウンチが臭いのは、大腸菌などの腸内細菌が、栄養をしぼりとったあとの食物を発酵分解してくれるときに、出てくるガスの臭いです。
では、オシッコもウンチと同じくらい汚いでしょうか?
オシッコは、血液をろ過して作られるため、腎臓が健康な場合は、体の外に出るまでは無菌なのです。ただ、尿道の出口には多少の細菌がいますし、時間がたつと、尿素が、外部から浸入した細菌によって分解され、アンモニアが発生し、臭くなります。
空気中には目には見えないけれどたくさん菌が浮遊しています。その菌がおしっこに付着し、たんぱく質などを食料として繁殖してしまうわけです。
結果としておしっこも菌だらけになるのですが、最初は無菌であることを考えると、ウンチよりは最初はキレイであるといえるでしょう。
ですから、ウンチの菌が広がらないように、オシッコとウンチのついた布オムツは別々にしておく方がよいのです。
布オムツを扱う際に、気をつけなければいけないことは?
見落としがちなのが、ウンチやおしっこのついた布オムツを放置してしまった際の、菌の増殖だと思います。
細菌は35度前後でよく増殖します。そして、増殖には水分が必要です。
そのため、布オムツを洗濯したあとは、しっかり乾かして、菌の増殖をおさえましょう。
細菌は体がわかれてどんどん増えていきます。例えばたった1個の細菌が、30分に1回分裂したとしても、10時間後には100万個になってしまうのです。
空中にはさまざまな菌が浮遊しています。
オシッコやウンチのついた布オムツが、お勤めから帰ってきたパパの手や、お買い物にいったママの衣服からくっついてきた、さまざまな病原菌の苗床となってしまわないように、オムツの借り置きバケツには蓋をして、なるべく長期間放置しないことが、病原菌を増やすリスクを減らすことにつながります。
ウンチを食べても大丈夫??
ウンチもオシッコもそんなに汚いのなら、布オムツなんて非衛生的!!?使い捨ての紙オムツの方が赤ちゃんにはよいのでは??
でも実は、病原性の菌を持っていない人の便であれば、万一ですが、ウンチを食べたとしても、すぐに病気になるというわけでもないのです。もちろん栄養はありませんが。。。
そもそもウンチは体の中にあったものです。食べた物のカスや、病原菌でない腸内細菌であれば、それほど人間にとって有害であるわけではないのです。
ただもちろん菌の量によります。そして大腸で無害である大腸菌であっても、その上にある器官である小腸では有害なのです。
消化器官の上流では、最終的な消化器官である大腸に比べて、細菌に対する防御の機能がありません。「ウンチが体から出てきたものなのだから、再び体の中にいれても大丈夫?」ということではないのです。
でも、病原性の菌、たとえば0-157などの病原性大腸菌や、コレラ菌が口から入ったとしても、免疫が弱っていない健康な人であれば、もちろん菌の量にもよりますが、必ずしも発症するわけではありません。有害な菌にウンチを通じて、感染したとしても、症状が出ない場合もあるのです。逆に、健康な人の体にすみつく常在菌であっても、体力が弱っている人や、赤ちゃん、老人には感染し、発病してしまうこともありあます。これは体に入ってきた菌をやっつけてくれる、免疫の力が弱いからです。
免疫ってなあに?
免疫とは、生物の体のもつ防御システムのことです。病原菌が体内に入ったとしても発症しないのは、皮膚、粘膜、リンパ節、唾液、消化液、血液など体中にある免疫が、病原菌が入るのを阻止したり、やっつけて、体を守ってくれるからです。
お腹の中にいるときの赤ちゃんの体には、基本的には他の微生物は存在せず、無菌です。それが、出産時にまず産道で感染し、生後3、4時間後には、外の環境や母親からさまざまな微生物に感染します。そして外界、やがては離乳食に含まれる様々な微生物を体に取り込み、ウイルスや細菌に繰り返し少しずつ感染しながら、その菌に対する抗体をつくり、免疫力を高めて2〜3才ごろにある程度の免疫が身に付きます。
消毒液などであまりにも潔癖に細菌を殺してしまうと、免疫が弱ってしまい、アレルギーやアトピーなどの子が増えているというのは、聞いたことがあるのではないでしょうか。ある程度の菌を体に取り込まないことには、抗体がつくれないのです。また菌も生き物ですから、生き残るために進化します。抗生物質や殺菌剤の使用によって、例えば0-157のような、強い病原性大腸菌までもが生まれてしまったわけです。
大切なのは、細菌を100%シャットアウトしてしまうことではなく、細菌が入ってきたとしても負けない免疫力を高めることです。
そのためには、食べる前には手を洗ったり、赤ちゃんの口に入るおもちゃはたまに日に当てる、お掃除をこまめにする、など、ごく普通の清潔に関する常識をもって生活していればいいのです。
布オムツを扱うときに気を付けること
布オムツを扱うときに、「汚いものだから!」とあまりにも神経質に、消毒をしまくる必要はありません。ですが健常な大人が大丈夫であっても、赤ちゃんや基礎疾患のある高齢者は、重症に至る場合があるのです。そのことをいつも頭に入れておく必要があると思います。
赤ちゃんは、胎盤を通じて、お母さんの抗体をもらっています。そして母乳に含まれる抗体とともに、約半年の間、病原菌から赤ちゃんの体は守られますが、お母さんが感染したことのない病気の免疫はもらうことができません。だから生後6ヶ月未満の赤ちゃんでももちろん風邪もひくし、病気にもなります。そしていったん病気になると、抵抗力や体力がないので、高熱を出すと命にも関わることになるのです。
そのことを踏まえて、私たちが特に布オムツを扱う際、普段心にとめておいたほうがよいのは、このようなことです。
1. オシッコやウンチのついたオムツを触ったら手を洗い、
菌を赤ちゃんの口に入るところに、ばらまかないようにする。
2. オシッコとウンチのついた布オムツは別々に保管し、
蓋をして菌が広がらないようにしておく
3. 汚れた布オムツはなるべく早く洗う。放置した場合は、消毒する。
4. 洗った布オムツはよく乾かす。更に天日で干すと紫外線消毒になる。
では、消毒ってどうすればいいのでしょう?